二つの場所 | 東京と長野のあいだで「まちをつくりたい」と歩む彼女の物語 | セリタホームズ

MABAYUI 眩い

輝かしい人生は、
眩さに満ちあふれる。

BASIC

2025.06.09

二つの場所

東京と長野を行き来する二拠点生活を選んだ彼女の物語。 都心の忙しさに疲れを感じた時、ある住宅会社との出会いが暮らし方を変えた。 「まちをつくりたい」という夢を抱きながら、現実の壁に立ち止まることもある。 それでも止まらずに歩き続ける理由は、幼い頃から見てきた両親の姿と、「誰かに何かを届けたい」という変わらない軸があるから。 サッカー選手から弁護士、そしてビジネスへと夢は変わったけれど、根っこにある想いは同じ。 完成していない今だからこそ光る、彼女の歩みの記録。

# MABAYUI

# セリタホームズ

# 二拠点生活

# 止まらない人

# 迷いながら進む

PROLOGUE

夢に向かって歩く人の姿は、いつも少し不安定だ。 完璧な答えを持たないまま、迷いながら進んでいく。 その歩みの中にこそ、静かな光が宿る。 都心と長野のあいだを行き来しながら、 「まちをつくりたい」と語る彼女の横顔。 まだ形にならない理想を胸に、 今日も小さな一歩を重ねている。

Chapter

1

心の距離

都心の忙しさと、長野の静けさのあいだで。

5月の風が、まだ少し肌寒さを残していた。
彼女が通う長野の拠点は、街の喧騒から離れた、心をほどけさせる場所にある。
東京での仕事を続けながら、長野に住まいを構えたのは2年前のこと。
「最初は週末だけのつもりだったんです。でも、気づけば……」
都心の忙しさに疲れを感じていた頃、
ある住宅会社との出会いが、彼女の暮らし方を変えた。
「ここなら、自分らしい時間が過ごせそう」そう直感した場所だった。
「昨日も飲み会が終わって、そのまま新幹線で。ちょうどいい距離感なんです」
都心の忙しさの中にいながらも、
彼女は意識的に"余白"をつくっている。
それは逃避ではなく、歩みを止めないための選択だった。
週末には東京の仲間が長野へ訪れ、集い、語り、また帰っていく。
「人を紹介して、一緒に飲んで、話して。"今"を共有する場所って感じです」
この場所は、ただ働くだけの空間ではない。
誰かの想いに触れ、何かを持ち帰る場であり、
都心とは違うスピードの中で、自分自身と静かに向き合える場でもある。
「ここにいると、"仕事"の話ばかりにならないんです。人生の話ができるというか」
心を揺らす対話は、東京ではなかなか得られない深さがあった。

Chapter

2

動かない時間

もどかしさと向き合いながら、あきらめない。

「大きな構想があっても、現実はなかなか動かないこともあるんです」
そう話す彼女の言葉には、悔しさよりも、静かな意志がにじんでいた。
理想に突き動かされる日々の中で、現実の壁に立ち止まることもある。
それでも、歩みは止めない。
「調整ごとは苦手。でも、自分にできないことは、得意な人に託すようにしています」
彼女は一人で抱え込まず、人に頼る強さを知っている。
進めない時間を"無駄"とは呼ばず、
会話と対話の中に前進の芽を見出していく。
「止まるのが、怖いんです。だから、どんなに小さくても動いていたい」
焦り、悩み、眠れぬ夜を過ごす日もある。
けれどそれは、自分にも誰かにも誠実でいたいからこその痛みだ。
彼女は、正解のない問いと向き合いながら、
今日もまた、小さな一歩を重ねている。

Chapter

3

"生きたまち"への想い

等身大の自分で、人と向き合う。

「やりたいことは、まちをつくることなんです」
それは行政区画の話ではない。
人が自然と集い、夢中になれる場がある、"生きたまち"のこと。
「両親が自治体職員だったんです。地域に尽くす姿を子どもの頃から見てきて……」
誰かのために働く尊さと、理不尽の狭間にある現実。
それでも、「もっと日本を面白くしたい」と願う気持ちは、
幼い日の記憶が芯になっている。
彼女は影響を受けやすい自分の気質を、「弱さ」ではなく「感受性」だと認めている。
人の気持ちを受け止めすぎて苦しくなることもある。
けれど、その繊細さが、誰かと共に歩む力になってきた。
「しんどいときは、ちゃんと『しんどい』って言います」
無理に強がらず、弱さを差し出せる勇気がある。
だからこそ、彼女の言葉には信頼が宿る。
人と向き合う時間が、まちをつくる原動力になる。
それが彼女の信じる、まちづくりのかたちだ。

Chapter

4

つながり、育つ夢

すべては、"伝えたい"という気持ちから始まった。

「最初の夢は、サッカー選手でした。保育園のころですね」
そう話す彼女の顔には、今も無邪気な笑みが浮かぶ。
その次は、弁護士。
きっかけはドラマ『リーガルハイ』——"お金が稼げそう"という素直な動機からだった。
「小6で中学受験を決めて、附属中高一貫校へ。将来は法学部に進んで弁護士になるつもりでした」
人の役に立ちたい。お金も稼ぎたい。
そんな想いが重なった夢だった。
けれど、中学2年生のとき、彼女の中で転機が訪れる。
「いや、弁護士じゃない。私はビジネスをやりたい」
突き動かしたのは、"もっと面白そう""もっと可能性がある"という直感だった。
夢は変わった。けれど、"誰かに何かを届けたい"という軸は、そこに残り続けていた。
「家系的に民間企業の人が少なかったんです。会社員って、なんだかキラキラして見えた」
高校では簿記を学び、経済・経営の道を志すようになった。
「勉強って、やった分だけ成果が返ってくるんです。私は、やればできるを証明するのが好きなんです」
入学時は下位だった成績も、最終的には主席で卒業するまでになった。
それは、"できない"を"できる"に変えてきた、彼女の歩みそのものだった。

BASIC

EPILOGUE

「まちをつくりたいんです」
今日も彼女は、そうつぶやく。
その声の奥にあるのは、まだ名前のつかない未来。
東京と長野のあいだで、
理想と現実のあいだで、
迷いながらも歩き続ける彼女の姿。
完成していないからこそ、
これから先の物語に、
静かな光が宿っている。