2026.03.08
帰る場所
縁もゆかりもなかった長野への移住。 奥さまの「地元で子育てをしたい」という想いに応えて、東京での暮らしを離れた。 友人も少なく、最初の一年は少しホームシックになることもあったという。 それでも、四季の変化やゆったり流れる時間に触れるうちに、気持ちはほどけていった。 「気づいたら、長野に帰ってくるとホッとするようになっていました」 人と向き合って話す温かさ、家族と過ごす食卓の時間、好きなスニーカーを眺める休日。 守るものができたことで、暮らしの重心が少し変わった。 実家の家業の想いは、奥さまが作るロゴやグッズとして形を変えて受け継がれている。 「今が一番いいですね」と自然に言える暮らし。 縁のなかった街が、大切な家族の待つ第二のふるさとになった物語。
# MABAYUI
# セリタホームズ
# 家族の時間
PROLOGUE
縁のなかった街が、いつの間にか帰る場所になる。 そんなことが、人生には起きる。 知らない土地での暮らし。 最初は戸惑いばかりだったけれど、 家族と過ごす日常の中で、 少しずつ根が張っていく。 洋服を選ぶ感覚と同じように、 暮らしもまた、自分に馴染むものを見つけていく物語。
Chapter
1
知らない街
家族と選んだ、新しい土地。
長野に住むことになるとは、昔は思っていなかった。
きっかけは、奥さまの「地元で子育てをしたい」という想いだった。
東京での暮らしを離れ、縁もゆかりもない土地へ。
知らない街の景色。
知らない道の名前。
友人も少なく、最初の一年は少しだけホームシックになることもあったという。
それでも、四季の変化や、どこかゆったり流れる時間に触れるうちに、少しずつ気持ちがほどけていった。
窓から見える山並み。
朝晩の空気の冷たさ。
季節ごとに表情を変える風景。
「気づいたら、長野に帰ってくるとホッとするようになっていました」
縁のなかったはずの街が、いつの間にか"帰る場所"になっていた。
移住ではなく、もう一つの故郷を見つけたような感覚。
石森さんの中で、その境界線は静かに溶けていった。
Chapter
2
人との距離
あたたかさに、救われた。
長野での暮らしの中で、いちばん印象に残っているのは、人との距離の近さだった。
お店で交わす何気ない会話。
顔を覚えてもらえる安心感。
「また来たね」と声をかけてもらえる関係性。
特別なことではないけれど、その積み重ねが暮らしをやさしくしてくれた。
「ちゃんと人と向き合って話してくれるんです」
そう話す石森さん自身も、どこかやわらかく、人との距離を大切にする人だ。
相手の話を最後まで聞くこと。
相手の立場で考えること。
もともと持っていたその姿勢が、長野での暮らしの中で、より自然な形で引き出されていった。
東京では気づかなかった、「人と向き合う時間の豊かさ」がここにあった。
Chapter
3
家族という軸
いるから、頑張れる。
仕事が終わり、家に帰ると家族がいる。
当たり前のようでいて、その時間が何より大きな支えになっている。
うまくいかない日もある。
「メンタルは弱い」と本人は笑う。
しっかり落ち込むこともある。
それでも、食卓を囲む時間や子どもの笑顔に触れると、「また明日も頑張ろう」と自然に思えるのだという。
守るものができたことで、暮らしの重心が少し変わった。
東京にいた頃は、自分の時間や自分の好きなことが中心だった。
でも今は、家族と過ごす時間があるからこそ、仕事にも前向きに向き合える。
長野での暮らしは、そんな日々のバランスをゆっくり教えてくれた。
家族がいる場所が、帰る場所になる。
その実感が、石森さんの歩みを支えている。
Chapter
4
好きなもの
ずっと変わらない感覚。
もともとはアパレルの仕事をしていた石森さん。
今でも洋服を見ることが好きで、休日にふらっとお店をのぞく時間は、自然と気分転換になっている。
中でも好きなのはスニーカー。
気が付けば少しずつ増えていき、今では100足近くになった。
「集めようと思っていたわけじゃないんです。好きで選んでいたら、いつの間にか増えていて」
流行だけで選ぶのではなく、自分がいいと思えるものを長く大切にしたい。
その感覚は、当時から変わっていない。
長野での暮らしが始まってからは、そうした価値観がよりはっきりしたという。
派手さよりも、日常になじむもの。
無理をしなくても心地よくいられるもの。
好きなものを大切にすること。
それは、暮らし方そのものにもつながっている。
棚に並ぶスニーカーを眺める時間が、石森さんにとっての小さな幸せだった。
Chapter
5
もうひとつの場所
離れていても、つながっている。
石森さんにとって、大切な場所はもうひとつある。
実家で営んできた家業だ。
小さな頃から当たり前にあった商売の風景。
人が集まり、会話が生まれ、笑い声が聞こえる場所だった。
今は離れた場所で暮らしているけれど、その名前や想いを残していきたいという気持ちは変わらない。
奥さまがロゴを作り、ステッカーやグッズとして形にする。
直接継ぐことはできなくても、家族で守り続ける方法がある。
「離れていても、つながっている感じがするんです」
長野での暮らしと、生まれ育った場所。
そのどちらもが、今の石森さんをつくっている。
二つの故郷を持つということ。
それは、二倍の温かさを抱えながら生きるということだった。
EPILOGUE
「今が一番いいですね」
そう自然に言える暮らしが、ここにある。
特別な出来事があるわけではない。
でも、家族と過ごす日常が心地いい。
縁のなかった長野が、大切な家族の待つ第二のふるさとになった。
朝、窓を開けると、長野の空気が静かに流れ込んでくる。
その穏やかな時間が、今日も続いている。
OFF SHOT
ご実家の酒屋さんへの想いを込めてつくられたオリジナルTシャツ。夕日の中に立つ後ろ姿からも、そのつながりの深さが伝わってきます。
石森さんの奥さまが手がけたロゴデザイン。お店の歴史と家族の想いを、今のかたちで受け継いでいます。
ロゴは、過去を懐かしむためだけでなく、これからも家族の中で生き続けるための新しい表現です。
石森さんのご実家で長く営まれてきた酒屋さん。地域の日常に寄り添いながら、今も変わらずこの場所に佇んでいます。
店内には地酒をはじめ、さまざまなお酒が並びます。昔から変わらない空気が、この場所の魅力を静かに伝えています。
店内に吊るされた杉玉は、酒屋さんの時間と歴史を静かに物語る存在。石森さんの原点を象徴する風景のひとつです。
ファッションにもこだわりのある石森さん。なかでもスニーカーは特別な存在で、自宅に はこれまで集めてきた一足一足が大切に並んでいます。もともとアパレルの仕事に携わっ ていたこともあり、洋服や靴を選ぶ時間は、今でも大切な気分転換のひとつになっていま す。
洋服や靴を選ぶ時間は、今でも石森さんにとって大切な気分転換。好きなものを選ぶ感覚は、暮らしにもつながっています。
アパレル時代の石森さんを象徴する一枚。手の中から放たれたリンゴが、これまでの経験の始まりを表現しています。
投げたリンゴは、時間を重ねる中でメロンへ。これまでの経験や好きなことが、今の石森さんの暮らしへとつながっています。
屋外のテラスで赤ちゃんを抱く石森さん。自然に囲まれた休日のひととき タイトル 自然の中で過ごす家族の時間 キャプション 休日は、家族と一緒にゆっくり過ごす時間が何より大切。自然の中で子どもを抱く姿に、穏やかな日常の豊かさがにじみます。
動物園で出会う“はじめて”の景色。子どもが夢中で見つめるその時間も、家族にとって大切な思い出になっていきます。
子どもと一緒に訪れる動物園には、長野らしい空の広さと、のびやかな時間が流れています。
動物を眺める時間も、家族と過ごす休日の大切な一場面。何気ない時間が、少しずつ思い出になっていきます。